家づくり

焼杉に恋い焦がれた日

新築を建てる人の多くは、35年ローンを組むことになるでしょう。

つまり、35年間、家の劣化とおつき合いしてくことになります。

家のピークは入居日?

僕の素人知識では、人間の脳は、生まれてから20歳ぐらいまで成長をして、そこから下降していくと聞いたことがります。

家も同じです。

0歳はきっと地盤改良ぐらいで、20歳が「入居日」ですかね(笑)

そこまでは、基礎ができて、上棟があり、フローリングも入って、外壁もつく。

毎日、新しい発見がありわくわくしますが、「入居日」を境に、今度は、毎日、劣化を目の当たりにしていきます。

外壁は雨や風にさらされて、家の床は傷がついていきます。

思い浮かべると少し悲しいです。

「劣化」と「経年変化」

ある条件によって、家の変化は「劣化」と「経年変化」に分かれます。

それは

「人工素材」 → 時間が経つと「劣化」する

「自然素材」 → 時間が経つと「経年変化」する

と考えます。

身近なものでは、

合皮の財布を長く利用すると、ボロボロになって、あまりそのまま使いたいと思わないはずです。

では、本皮の財布はどうでしょうか。

使えば使う分だけ、味が出て、もっと使いたいと思いますよね。

これこそ「経年変化」であり、ただの「劣化」とは異なります。

家の経年変化を楽しもう!

家の外壁や床など、影響を受けやすい場所こそ、あえて、自然素材を利用することで、見ると悲しくなる「劣化」ではなく、いい味出てきたなぁと言える「経年変化」になります。

そして、僕は、断然「無垢の杉材」をおすすめします。

杉の特徴は、木の断面を見ると、隙間が多く見えるようなつくりで、たくさんの空気を含んでいます。

隙間が多いと柔らかく、空気が多いと温かいです。
(いずれ書きたいと思いますが、「空気」は一番の断熱材です。)

フローリングに杉材を使うと、素足のふみ心地も最高ですし、冬でも温かいです。

その分、傷はつきやすいですが、これこそ、経年変化。

日差しを浴びることで徐々に飴色に近づいていき、傷もアクセントになって感じることができます。

さらに、杉材を火にかけると、状態が劇的に変わります。

日本古来からの建築技法で「焼杉」というものがあります。

焼杉 (やきすぎ)とは、耐久性を増すために、杉板の表面を焼き焦がし炭素層を人為的に形成したもの。

昔の人は経験でこれを思いつくからすごい。

あえて焼き焦がすことで炭化させて、本来の杉にはない「強度」のエッセンスを追加しました。

この焼杉を貼った家、見た目もすごく素敵なんですよ!

あえて炭化させて耐久性を増し、塗装にはない黒さを醸す「焼杉板(特一等材)」

すてきでしょ?(笑)

見た目もよく、経験変化も楽しめるとなると、良いところばかりです。

本当は焼杉を使いたかった

そして、ようやくタイトルに戻るのですが、ここまで書いておいて、僕の家は焼杉は使えませんでした。

使いたくても、使えませんでした。

僕の住む場所は、「準防火地域」と呼ばれ、普通の住宅地と比べて、厳しい防火に関する制限があります。

外壁や窓で使える種類も限られるのです。

そんな背景もあって、焼杉の外壁にしたかったのですが、枕を濡らして、諦めたのでした。

その土地に、何か制限(景観の制限や、僕のような準防火制限)がないか、しっかり確認することをおすすめします。

そして、僕の果たせなかった夢を引き継いてください(笑)